WPPAになにが起こったのか?

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WPTとWSOPが成功する前夜、ポーカートーナメントを拡大しようと多くのアイディアが出された。女性だけのトーナメント大会、LIPSツアーはWSOP連盟の一部としてトーナメントを開催することで女性プレイヤー発展の足がかりをつくり、大成功をおさめている。しかしながら、成功しなかったものもある。世界ポーカープレイヤー協会、WPPAである。

2004年3月につくられた世界ポーカープレイヤー協会(WPPA)は、ポーカーコミュニティーにいるプレイヤー全員にとって、躍進の突破口になるはずだった。プレイヤーのための機関として、メンバーだけでなく誰でも参加できるトーナメントを提供していくはずだったのだ。WPPAは、真にプレイヤーの要求を考慮したトーナメントをつくるアイディアを持ち、チャンピオンを決めるトーナメントの大掛かりな予定まで立てていた。

WPPAはゲームショーネットワーク(GSN)とトーナメント放映の契約を結んだのだが、そのときに考えていたほど状況は甘くなかった。一方、GSNはポーカーを放映することで大きな効果が得られることに気づき、このような番組が自社に必要だと認識した。このようにしてつくられたのが現在でも放映されている“ポーカーローヤル”シリーズなのである。

2004年10月、WPPAはラスベガスのオーリーンズでトーナメントを開催し、王者を決定した。プロのジェームズ・ヴァン・アリスタンが、ケシー・リバート、世界チャンピオンのカルロス・モーテンセン、ポール・ウォルフ、リー・マーコルトなどがひしめくファイナルテーブルを制してチャンピオンになった。12月にはGSNでその模様が放送され、そこそこよい反応が得られた。

しかし、その同じ月に、WPPAの歯車は明らかに狂い始めた。同じくオーリーンズで開かれたもう一つのチャンピオンシップでは、5人しか参加者が集まらなかったのだ。2005年になると、トーナメントがキャンセルされることさえ出始めた。WPPAの失敗はトーナメント界以外にも見られるようになった。

インターネットの世界では、ウェブサイトが更新されなくなったり完全に消えたりすると、それは興味の喪失やサイト主体の解散を示す。WPPAのウェブサイト、wppa.info(ニュース、インフォメーション、メンバー登録などが盛り込まれていた)では、だんだん新情報が見かけられなくなり、サイトが衰微していった。今では完全に消されてしまったようである。

WPPAの消滅について何かしら情報を得ようと最後の望みをかけて一通のメールを送ってみると、オーリーンズの大会でマネージャーを務めていたというギャレット・オカハラという人から返信が帰ってきた。「WPPAはもはや存在しません。ただしWPPAの設立者、ルイス・アズモは似たようなアイディアのもと、絶え間なくポーカー界で働きかけを続けています。何か進展があったら私に知らせてくれると約束しています。」

最大の疑問は「一体何が起こったのか?」だろう。トーナメントイベントを放送して得た利益をプレイヤーが分配するなど、“プレイヤーのグループ”としてWPPAが提案したアイディアはとても新鮮だった。WPPAはプレイヤーの声に応ずる、どの業界でも必要とされる機関になると思われていた。

WPPAは単に、常に変化しつづけるトーナメントポーカーの犠牲になっただけかもしれない。ここ最近2年間では、高額トーナメントが、カジノ、ディーラーからプレイヤーやメディアまで、あらゆるポーカー関係者に緊張感を与えているように思われる。昔は5000ドルや10000ドル級のトーナメントは一年に手足で数えられるくらい(つまり三、四個)程度しかなかった。それに比べて現在では最低でも一月に3つはこのレベルの大会があり、“テレビのために作られた”イベントを足せば、さらに多くなる。プレイヤーにとってはどれに参加するのか決めるだけでもとても忙しくなるのだ。

また、WPPAは自らの強引さがたたったかもしれない。組織をつくり、組織主催のトーナメントが放映されるようにするのも大きなハードルだっただろうが、“普通の”プレイヤーに受け入れられるようにするための努力が足りなかった可能性がある。WPPAは、地盤固めをするよりもむしろ、言うなればつまようじの上にマンションを建てていたのかもしれない。何人かのプロからは受け入れられていたようであるが、さらに発展していくには人数がたりず、結果として失敗におわったのだ。

WPPAの消滅は、あのような衝撃とともに始まったのにもかかわらず宣伝が不足していた結果だったと物語られている。この失敗は、ポーカー界では何をするべきで何をしないべきなのか、という教訓をあたえてくれたのかもしれない。ルイス・アズモがさらに強く、賢くなって、新たな組織とともに舞い戻ってくる可能性はある。時間と、ポーカー界の風だけが、知っているのである。

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