ブラインドからのレイズ

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私はリミットのゲームでブラインドからしょっちゅうレイズしてくるタイプのプレーヤーが嫌いである。(但し、トーナメントやポットリミット・ノーリミットのゲームはまた別の扱いが必要となり、以下の考察は当てはまらないことに注意されたい。)ブラインドからレイズするのは非常に危険であり、これを実行するのは非常に少人数のゲームに限るべきである。この私の考え方について以下に詳しく述べて行く。

ブラインドからのレイズは敵がアウトドローするのを正しいプレーにしてしまう

ブラインドからレイズすることのまず第1の問題点は、敵に、アウトドローする(あるハンドに対して、それより強いハンドを作って逆転勝ちする)ための正当な理由を与えてしまうことである。あなたがビッグブラインドでKKを持っており、あなたの所まで4人がコールで参戦してきたとしよう。もしあなたがレイズしなければポットは5ベットである。従って、あなたがフロップでベットすればポットオッズ(ポットの金額対コールするのに必要な金額)は6対1となる。もし敵の一人がA9を持っており、フロップがJ-10-5であればこのプレーヤーは7対1で不利である。(8回のうちあなたが7回、敵が1回の割合で勝つということ。)従って、あなたのベットに対してこのプレーヤーがコールすることは割に合わない。

 もしあなたがブラインドからレイズしたらどうなるであろう。この場合でも、他のプレーヤーがプリフロップで降りることは考えにくい。従ってポットは10ベットと倍になる。となるとあなたがベットすればポットオッズは9対1となり、8回のうち1回しか勝てないA9を持っているプレーヤーがコールすることは、期待値の観点からも「正しい」コールになってしまうのである。即ちブラインドでレイズすることの第1の問題は、相手がフロップでコールするのに値するほどポットを膨らませてしまうことにある。

心理的な側面

マルチウエイのポットでブラインドからレイズすることの第2の問題点は心理的な影響である。プリフロップでリンプイン(ビッグブラインドに対してコールすること)したプレーヤーはなるべく安い支出でフロップを見たいと考えているのが普通である。ブラインドの所までレイズなしで順番が回ってきたら彼らは予定通り1ベット分でフロップが見られると考えて一安心しているに違いない。そこであなたが突然ブラインドからレイズすると、彼らの「安い支出でブラインドを見る」という期待を裏切ってしまうのである。その結果、あなたに対して敵意を抱き、どんなフロップが出たとしても対抗していってやろうと考えるプレーヤーも出てくる。QQやKKをもっているとき、あるいはAAをもっている場合でさえ、5人のプレーヤーにリバーまでついて来ようと思う気持ちにさせようと思うかい?!

また、プリフロップでレイズしない方がフロップでのあなたのベットを信用してもらえることが多い。例えばあなたがQQ持ち、フロップがJ-8-7としてプリフロップでレイズしなかったとする。このときフロップでベットすると他のプレーヤーには非常に厳しいベットに見える。また、フロップで降りてくれなかったとしてもターンで降りてくる可能性もある。しかし、プリフロップでレイズした場合は、かえってあなたのベットに対するリスペクトは薄くなりがちであり、降りずについてくるプレーヤーが多くなる。

 確率的な見方をしてみよう。あなたがQQ持ち、他のプレーヤーはそれぞれA9, K10, 66, J9持ちであるとする。フロップがJ-7-8であるとすると、この段階でのあなたの勝率は35%である。もしフロップでA9と66のプレーヤーを降ろすことが出来ればあなたの勝率は51%にまで高まる。もしあなたがプリフロップでレイズしていたとすれば、A9持ちも66持ちも、「フロップで降りてやるもんか」という悪感情をあなたに持って最後まで着いてくる可能性が高い。即ちこの場合あなたは他のプレーヤーを降ろせないので、勝率は35%のままになってしまうのである。

ポジションの問題

第3の問題は、フロップ以降あなたは不利なポジションで戦わなければならないということである。従ってあなたの後ろのプレーヤーがレイズすることによってターンでのフリーカードを取りに行くと言ったような巧妙なプレーに巻き込まれる可能性があるなどの難しい状況に追い込まれる訳である。

 また、以下のようなことも考えられる。あなたがKK持ちで、フロップがAc-7c-10dであるとする。あなたのフロップでのベットに対して相手がコールしたとする。このプレーヤーはA持ちなのか?それともフラッシュドローなのか?どっちなのかの手がかりを得られない状況になってしまう。ターンではポジションが不利なあなたはベットするのは非常に難しくなる。ターンがラグ(展開に関係のないカード)であればあなたは恐らくチェックすることになる。相手がミドルペアやフラッシュドローだった場合、結果的にあなたはフリーカードを相手に渡してしまうことになる。また、あなたは相手がセミブラフ(現状では弱いが、フラッシュなどへ進展する可能性がある手で打つブラフ)をするチャンスも与えてしまう。そしてもセミブラフを仕掛けてきた相手は恐らくリバーでもブラフをするであろう。Aがボードにある状況でターンとリバーの2回もベットに対してコールするのは決して気持ちのよいものではなかろう。

 この状況では、私はブラインドからのレイズはしない。そしてフロップが同じくAc-7c-10dであれば、私はベットする。そして誰かがコールすればターンでは私はチェックに回る。もし私がこのようにプレーすれば、相手は私をA持ちだがキッカーが弱い手だと推定するだろう。従って、相手は「ターンとリバーでベットしても奴はコールしてくるだろう」と考えるのが普通である。結果として相手がターンでブラフベットを打ってくる確率を小さくすることが出来る。即ち、私の手が勝てる可能性が高い手かどうかを推定するために費やすコストを2スモールベット(プリフロップでの1ベット分とフロップでの1ベット分)に節約出来るのである。もしブラインドでレイズしていれば、プリフロップで2ベット、フロップで1ベットの計3スモールベットが必要となる。その上、3スモールベットを費やしてもターンでの打ちまわしに有益な情報は全く得られなくなるのである。

ハンドの正体がばれてしまう

上記に加え、ブラインドからレイズすることは自分のハンドの正体をプリフロップの段階で相手に教えてしまうことにつながると私は考える。自分のハンドの正体がばれてしまってかつポジションも悪いというのはポーカーにおいては、あまり良い状況ではなかろう。

ブラインドからレイズすべきとき

ブラインドからレイズするのは極めてショートハンドのときに限るというのが私のアドバイスである。プリフロップでヘッズアップなら、ビッグブラインドからはA-JsやA-Qを含むどんな強い手でもレイズしよう。4人以上のプレーヤーが参戦する状況では、私はブラインドからはチェック&コールに留め、その代わりフロップでベットする。

 その他でレイズすべきときは2人のプレーヤーがコールしたところにレートポジションのプレーヤーがレイズしてきたときである。この場合は私はリレイズして、コールしてきた2人のプレーヤーの少なくとも1人、うまくいけば2人ともを降ろすことを考える。もし彼らが私のリレイズにコールした場合は、フロップではレイズしてきたプレーヤーに対してチェックレイズする。また、プリフロップでレートポジションの前に3人以上のプレーヤーがコールしていた場合はプリフロップではコールに留める。そしてこの場合も、フロップではレイズしてきたプレーヤーに対してチェックレイズを行う。これはフロップでフィールドを狭くするのに非常に有効な戦術である。

手の強さを隠す

プリフロップで強い手をコールすることの別の大きな利点は、自分の手の強さを隠すことが出来るということである。誰もあなたの手の強さを知ることは出来ないから、相手は通常、こちらの手をブラインドハンド(ランダムなゴミ手)であると推定するだろう。私はAAで非常に大きなポットを取ったときのことを思い出す。そのときは5人のプレーヤーがコールしてきたが、私はビッグブラインドでレイズしなかった。フロップはA-2-9であった。フロップでベットしたところ2人のプレーヤーがコールしてきた。ターンは2であった。私が再びベットしたところ相手はレイズしてきた。そこで私はリレイズした。相手が再びリレイズ、私もリレイズ、相手コールとなった。私のリバーでのベットに対して相手はコールしたが、敵は「2と何を持ってるんだい?」と聞いてきた。私が私のカードを見せたとき相手は大変驚いて、「なんでプリフロップでレイズしなかったんだい?」と聞いた。彼はフロップで2がペアとなりターンでtrips(スリー・オブ・ア・カインドの別名)となったのだが、そのときには私がエースのフルハウスをもっている可能性が頭の中からすっかり抜けてしまっていたのである。だからこそ、私に対して激しくレイズで向かってきた訳である。もし私がプリフロップでブラインドでレイズし、ターンでもリレイズしていれば彼は少なくとも私がAAを持っている可能性に気づいていたであろう。

副次的効果

強い手でプリフロップレイズをしないことの副次的効果は2つある。注意深く相手を観察するタイプのプレーヤーは、あなたがブラインドから必ずしも強い手をレイズしないという印象を持つであろう。従って後のハンドであなたがフロップでリンプインしてきたときにも、あなたが強い手を持っている可能性を念頭においてプレーするのでフロップやターンでベットせずにあなたにフリーカードを与えてくれる可能性がある。これはあなたが小さいスーテッドコネクター(56s等同じスーツの連続したランクのカード2枚)をもっているときには非常に有利な状況である。第2の効果は、ベストハンドをもっているプレーヤーを降ろすことが出来るということである。例えばあなたがミドルポジションから10-9でリンプインし、フロップがJ-10-6であったとする。フロップで誰かがベットしたときにレイズをして見るのも悪くない。このときA-10をもっている後ろのプレーヤーは、あなたが強い手を持っていると疑い降りてくれる可能性がある。これらの副次的効果の影響は大きいが、相手が注意深く観察するタイプのプレーヤーではない場合や、十分な読みに従ってプレーするタイプのプレーヤーではない場合は効果がないので注意が必要ではある。

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