“エース”が語るオンラインポーカー(2):マルチテーブルで戦うべきか? 

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オンラインでプレイする利点を聞くと、ほとんどの人から同じ答えが返ってくる。「実際に会ってプレイするよりもたくさんゲームができるのがオンラインの利点だね。ディーラーがカードをシャッフルしたり配ったりするのを待つ必要がないからさ。オンラインの方が速くゲームが進むから、顔を合わせてプレイするより楽しめるし、金も儲かるよ。」

 実際のポーカールームでは一時間に30から35ゲームが限界であるのに対し、複数のテーブルで同時にゲームに参加する人(マルチテーブラー”multitabler”)は、オンラインで一時間に100ゲーム以上をこなすこともある。だから、単純計算ではオンラインのマルチテーブルプレイヤーは、実際のポーカールームでプレイする同じ能力のプレイヤーよりも断然稼げるように思える。しかし、これは本当なのだろうか?

 私はアムステルダムでバイインが500ユーロのポットリミットオマハをやっているのだが、これについていつも否定的な意見を言ってくる友人がいる。彼が言うには、「君がやってるようなゲームはまったくやる気が起こらないね。君がやってるゲームじゃ一時間に20から22ゲームしかできないけど、オンラインでは、4つのテーブルで同時にプレイできるんだ(確かにこれは本当である。ディーラーやプレイヤーの中には非常にとろい人たちがいる。その上、ポットリミットゲームは他に比べて少し遅いし、オマハはホールデムよりも遅い。このようなことを考慮すると、私のやっているゲームは1ゲーム終わるのにすごく時間がかかるし、ゲーム終了後次のゲームが始まるまでにも時間がかかるのである。)。君のやってる方法じゃ一晩プレイしても100とか120ゲームがせいぜいだけど、オンラインだったら100ゲームなんて一時間で終わるよ。だから、僕の判断は単純さ。僕は、オンラインでプレイする。」。速くプレイができる(だから効率よく稼げる可能性がある)という点では、彼の主張は正しいように思われる。だが、彼が忘れていることも少しあるようだ。

まず、3つとか4つとかのテーブルで同時にプレイすると、プレイヤーは必ず多くの重要な情報を見逃すだろう。このような状況下でも十分よい能力をたもってプレイできるのは本当に優れたプレイヤーだけだ。中の上程度のプレイヤーでは、他のプレイヤーに対して有利に戦うことはほとんど期待出来なくなる。そこそこレベルのプレイヤーだと、むしろ負け組に転落してしまっている可能性もある。(いわゆる“普通の”ポーカールームで一つのテーブルでプレイしているときでも、賭けた金額の総額と比較すると、1時間辺りに儲かる金額は結構小さいものであることを覚えておいてほしい。また、平均的な時給はいつも確実に稼げる訳ではなく、上級者であっても勝ったり負けたりの結果の幅は時給に比べて非常に大きいものである。つまり、ほとんどの場合、非常に良いプレイヤーであってもポーカーをしているときの利益は実は非常に小さいものなのである。ましてやマルチテーブルのように状況が大きく変わると多くの情報を逃すようになるので、この非常に薄い利益を維持することは非常に困難になってしまうのだ。机上の計算では、$20-$40ブラインドのゲームを一つのテーブルでだけプレイすると一時間で$30稼ぐプレイヤーが、同じブラインドのゲームを4つのテーブルでプレイし、$15ずつ稼ぐと、一時間当たりの稼ぎは結局二倍になる($15×4=$60)。しかし、1テーブル辺りの稼ぎが$10下がると、結局一つのテーブルに集中してプレイしたほうがより多く稼げることも多い。私が推測するに、実際はほとんどのマルチテーブルプレイヤーがここでいう$15の利益にさえ達していないのではないかとおもわれる。)

一つのテーブルで、一時間に30ゲームほどしかプレイしていないと、一時間に100ゲームするのに比べてゲームが全体的にルースになりやすい。新しいゲームが始まるまでの待ち時間が長いと、なるべく多くのハンドで参加したくなってくるのが人間の性である。一般的に、ルースなゲームほど儲かる可能性は高い。上記のアムステルダムのポーカールームB&M cardroomで、一つのテーブルで比較的ゆっくりプレイしているほうが、オンラインで多くのゲームを速くプレイしているときより儲けは大きいかもしれない。

実際のポーカールームでプレイする利点は、敵の姿を見られることである。これは平均レベルのプレイヤーにとってはむしろマイナスに作用する。(これは、上級者である敵が、平均プレイヤーを実際に観察しながらプレーすることによって追加で得られる情報の量は、平均的プレイヤーが上級プレイヤーを観察することによって得られる情報の量より大きいためである。)。あなたが、ゲームの中で一番うまいプレイヤーだった場合は逆に敵を観察しながらプレー出来ることにより、格段に有利になる。オンラインでプレイすると、この大きなチャンスを逃していることになるのだ。特に、ポットリミットやノーリミットゲームでは、一つの鋭い読みが大きな収益の差となってくる可能性があるのである。

一方で、オンラインで複数ゲームに参加することには大きな利点もあることも確かである。ゲームの進行が速い、良いゲームを常に見つけることができるなどという“よく言われる”利点のほかに、以下のような利点が挙げられると思う。

すでに言及したとおり、複数テーブルでプレイすると一定時間により多くのゲームができる。そのような状況下でも十分な能力を保てるのであれば、普通に(実際のポーカールームにせよオンラインにせよ)一つのテーブルでプレイするより断然効率よく稼げるであろう。

悪いハンドばかりが配られるときに退屈になって、ついつい甘いハンドで参加しがちなプレイヤーにとっては、複数のテーブルでプレイすることでこれを解決できる。複数ゲームをプレイすれば、よりタイトで、より良いゲームができるはずである。というのも、フォールドしてもすぐに次のハンドが配られてゲームが開始されるから退屈することはなく、どうしようもないハンドで降りる決断もしやすい。実際、上で紹介した私の友人が、複数テーブルプレイで成功している理由はこれなのかもしれない。彼は、一つのテーブルだけでプレイしているときには50から60%のハンドでプレイするが、マルチテーブルをしているときには20から25%のハンドでしかプレイしない。このことで、彼はプラスマイナスゼロで損もしないが儲かりもしないプレイヤーから少しだけもうけるプレイヤー、または、少しだけ儲かるプレイヤーから確実に勝てるプレイヤーへとなっていると推察出来る。

最後に

本当のことを言うと、私はマルチテーブルでのプレーにはあまり賛成ではない。一般的に、まずは一つのテーブルですばらしいプレイをできるようになるのが先決だと思う。敵のタイプをよく知り、それぞれの場面の特徴をよくつかみ、どんな状況下でも上手にプレイできるようになった時に初めて2テーブルでのプレーに挑戦出来る程度ではないであろうか。そしてその場合でも極めて慎重にプレーする必要がある。なにしろ、本当に優れているトッププロでも2テーブルが十分よい能力を保ったままプレイできる限界なのである。だから、それよりも能力が低い人たち(したがってほとんど全ての人々)にとって、3つや4つのテーブルで同時にプレイするのは、それが非常においしいゲームで無い限りは大変すぎることなのである。

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